介護保険での住宅改修
現在は自宅で母を介護していますが、
ある時期から我が家のあちらこちらに
手すりが増えていきました。
気が付けばほとんどの場所に手すりがついており
日曜大工好きの父が
お風呂場に、洗面所、廊下、玄関と
およそ3か月でほぼ完成し
半年後には、手すりがない場所はないぐらいに
なっていましたよ。
今まで介護とはあまり縁のなかった人が
両親の介護が必要になってきた時など
私は仕事柄、友人などにもよく相談を受けるのですが
いろんな本やネットで調べるのも良いですが
とてもわかりやすいので
この本をお薦めしています。
この本の中で例えばこんな質問にも答えてくれています。
質問 ホームセンターで材料を買ってきて
自分で手すりを取り付けようと思うのですが
その場合でも保険は適用されますか
答え 施工業者に依頼した場合は
材料費や施工費など一切が介護保険の対象になりますが
介護保険の利用者や家族が改修した場合は
材料費のみが保険の対象となります
今回は介護保険での住宅改修についての簡単なまとめです。
1 介護保険が適用される住宅改修
介護保険による住宅改修サービスは
要支援者と要介護者が自宅での生活を
より安全で快適なものにできるように
特定の改修工事を行った場合にかかった費用の
1割から3割の自己負担で
自宅改修ができる介護保険サービスの一つです。
ではどんな改修工事が対象になるかというと
下記にあげたものが主なものです。
● 手すりの取り付け
廊下、トイレ、浴室、玄関、玄関から道路までの通路などに取り付ける
● 段差の解消
敷居を低くする、スロープを設置する、浴室の床を嵩上げするなど
● 滑り防止や移動しやすくするための床や通路面の材料の変更
敷居の畳を板製や、ビニール系の床材に変更したり、
浴室や通路の床材を滑りにくいものに変更する
● 引き戸などへの扉の取り替え
扉全体の取り替え(引き戸開き戸、折戸、アコーディオンカーテンに変更)
扉の撤去ドアノブの変更など
● 和式便座から洋式便座への取り替え
和式便座から洋式便座への変更や既存の便器の位置や向きの変更
● 上記の工事に付帯して必要な住宅改修
手すりの取り付けのための壁の下地補強や
便器の取替えに伴う給排水設備工事など
適用となる範囲は細かく決められています。
2 依頼から支給までの流れ
住宅改修の依頼から支給までの流れを簡単に説明しますね
①事業者の選択、見積もり依頼
②市区町村への申請
事前申請の事前申請に必要な書類は
支給申請書工事費見積書
住宅改修が必要な理由書
(ケアマネージャーなどに作成してもらう)
住宅改修後の完成予定の状態がわかる日付入り写真や間取りなど
③市区町村が確認し結果を報告
④改修工事の施工そして完成
⑤事業者に施工費を全額支払い
⑥市区町村に改修費の支給申請
事後申請に必要な書類は
住宅改修にかかった領収書
工事費内訳書
住宅改修の完成後の状態を確認確認できる書類
(日付入りの完成前後の写真)
住宅の所有者の承認書
(利用者が所有する住宅でない場合)
⑦市区町村からの支給
こうして書くとなんだか大変な気がしますが
まず最初にケアマネージャーや地域包括センターに相談すれば
業者さんも紹介していただけますし
申請書類も依頼した業者さんやケアマネさんが
しっかりサポートしてくれるので
安心して相談してみてください。
一番大切なのは自宅での生活を安全で快適なものにするためには
何が必要なのかを介護を受ける本人そして介護をささえる家族が
しっかり理解しイメージしていることです。
3 具体的にいくらまで可能なのか?
住宅改修の支給限度額は
利用者一人につき20万円までとなっています
例えば一つの家に二人の要支援者または要介護者がいる家の場合は
40万円まで改修工事にかけられることになります
ただしその場合一つの工事で40万円は保険対象になりません。
この場合の上限は20万円となりそれ
(一つの工事の介護保険限度額は20万円です)
それ以上にかかった費用は全額自己負担となります。
また一度に20万円近くかかる工事をする必要はなく
上限額までであれば工事を何度にも分けて行うことが可能です
さらに引っ越した場合や要介護度が3段階以上上がった場合は
改めて20万円まで支給限度額が設けられることができます。
住宅改修費の支払い方法は一旦全額支払って
後から申請して戻ってくるというのが一般的ですが
市町村によっては
自分の負担部分だけを業者に支払って
行政が直接残りの部分を業者に支払うと言う
受領委任払いが可能なところもあります
ただし受領委任払いが可能な業者は
登録制となっていて数が限られているので
しっかり事前に確認してくださいね。
4 我が家の改修工事
我が家の住宅改修は日曜大工好きの父によって
手すりなどがつけられましたが
強度や安全面の問題はもちろん
できるだけ快適に安全に生活するためには
やはりプロに相談した方が
いろいろなアイデアや注意点などのアドバイスも受けられ
的確な改修工事ができると思います。
しかし現在家の中に張り巡らされた手すりは
母の日常生活においてなくてはならないものになっています。
施設のようにはいきませんが
それでも自宅が介護が必要な人にとって
住みやすく改修するのは
本人にとっても介護する家族にとってもす
ごく有意義なことだと思いますし
良い状態をできるだけ維持するためにも
早め早めの対処がおすすめです。